実は違う!看護師でも間違う終末期ケアの種類を解説!
病院や施設、在宅などどこの現場でも考えなくてはいけないことが「終末期」です。
超高齢化社会になってきて、終末期を迎える方の数は年々多くなってきます。
そこで看護師同士が話しているときに
この人はもう緩和ケアだね
もうターミナルだから積極的な治療は必要ないね
など、少し首をかしげる会話が聞こえてくることがあります。
今回は終末期でのケアの種類を紹介していきます!
最後まで読めば、どんな種類のケアがあるのか、どのように考えればいいのかがわかります!
患者さんやご利用者さん、その御家族に間違えた説明をしないように覚えておきましょう。
終末期とは?
まずそもそも終末期とは何なのか?とうところからお話しします。
終末期はよくターミナル期とも言われます。
その定義は終末期医療に関するガイドラインで
「終末期」とは、以下の三つの条件を満たす場合を言います。
1.複数の医師が客観的な情報を基に、治療により病気の回復が期待できないと判断す ること
2.患者が意識や判断力を失った場合を除き、患者・家族・医師・看護師等の関係者が納得すること
3.患者・家族・医師・看護師等の関係者が死を予測し対応を考えること
終末期医療に関するガイドラインより引用
と書かれています。
少し難しく書かれているのでまとめると
1 医者が医学的にはもう回復する治療方法がないと判断した
2 患者や利用者、看護師などの関係者が納得した場合
3 納得した関係者が死を見据えた対応を考え始めた
この3つがそろって初めて終末期となります。
前までは「6ヶ月のうちに~」など期間が定められていましたが、現在は期間がありません。
看護師は医師による治療の中断や終了、患者さんや利用者さんの身体の状況(人生のゴールに向けた準備)を踏まえて終末期かどうかを考える必要があります。
リビング・ウィル(生前発行遺書)を書いておくことをオススメします。
自分が判断力がなくなったときに自分の意思が尊重されることが大切ですので。
「リビング・ウィル」や「ゴールに向けた身体の準備」については長くなるので、また後日お話しします。
終末期で行うケアの種類
終末期は人生最後の時期になります。
ゴールを見据えたケアで大切なのがこの4つのケアになります。
終末期(ターミナル)ケア
緩和ケア
ホスピスケア
エンドオブライフケア
- 終末期(ターミナル)ケア
- 緩和ケア
- ホスピスケア
- エンドオブライフケア
それぞれ共通する部分が多いため、看護師の中でも混乱してしまう人が居ます。
特に患者さんや家族のなかには緩和ケアと聞くと、人生の最後が近いと思われる方もおられ、動揺する場面も見てきました。
そのため、看護師は混乱せずにきちんと説明できて

緩和ケアは〇〇をするためのケアなんだ

〇〇だからホスピスケアが必要です
などはっきり言えるようになりましょう。
それでは細かく説明していきますね!
終末期(ターミナル)ケア
終末期におこなうケアのことで、患者さんや利用者さんが終末期に入ったときから始まるケアです。
そのため、まだ治療を諦めていなかったり説明に納得していない場合には終末期ケアには当たらないと解釈できます。
患者さんが自身の状態を受容したことが確認されて開始されるんですね。
終末期ケア独自のケア方法はなく、終末期ケアのなかに緩和ケアやホスピスケアなどが入ってくる形になります。
積極的な治療による延命ではなく、苦痛や不快感を減らして生活の質をあげるケアとなってきます。
緩和ケア
緩和ケアのイメージは「がんの抗がん剤治療などの苦痛を和らげる」という方が多いと思います。
しかし、WHOの緩和ケアの定義を要約すると
「身体も心も社会的にもスピリチュアルな問題も早くに見つけて苦痛を予防することによって和らげることによって、命の危険にさらされている患者や家族のQOLを向上させるケアのこと」
WHO緩和ケアの定義より引用
となっています。
日本においては緩和ケアの定義が「がん対策基本法」に書かれているので、がんのイメージが強いのです。
その結果、緩和ケア=終末期のがんという構造ができあがってしまいました。
緩和ケアはあくまでも、
- 患者・家族の苦痛を予防、緩和することが目的
- 命の危険性がある疾患に罹患したときから対象になる
とうことを覚えておきましょう。
ホスピスケア
死が迫っている患者とその家族の苦痛をなるべく最小限にすることを目的としています。
命の危機が迫っている患者が
全人的苦痛(身体的、精神的、社会的、スピリチュアルな苦痛)から解放
残された日々を人間としての尊厳を保つ
心身共に安楽に過ごす
という事が目的なのです。
終末期ケアとかなり似てますが、ホスピスケアのほうが心理的にやスピリチュアルなど内面にもケアの視点を持っていることが特徴です。
エンドオブライフケア
こちらも目的や意味は終末期ケアと変わりはありません。
しかし終末期ケアよりも広い概念として考えられています。
診断名、健康状態、年齢にかかわらず、差し迫った死、あるいはいつかは来る死について考える人が、生が終わるときまで最善の生を生きることができるように支援すること
千葉大学医大学院看護学研究科:エンドオブライフケア看護学,エンドオブライフケアの定義より引用
とされています。
緩和ケアは疼痛や病状管理に焦点化され、ターミナルケアは終末期に特化しているといえます。
しかしこれだけではカバーしきれず、患者家族の生活に合わせた終末期のケア体制をつくるため、エンドオブライフケアという考え方があります。
終末期は病気になったからではなく、人生の一部という考えがエンドオブライフケアには含まれています。
実は違う!看護師でも間違う終末期ケアの種類を解説!:まとめ
終末期(ターミナル)ケア
患者さんや利用者さんが終末期に入ったときから始まるケアです。
患者さんが自身の状態を受容したことが確認されて開始されるんですね。
緩和ケア
日本においては緩和ケアの定義が「がん対策基本法」に書かれているので、がんのイメージが強いのです。
緩和ケアは
患者・家族の苦痛を予防、緩和することが目的
命の危険性がある疾患に罹患したときから対象になる
ホスピスケア
死が迫っている患者とその家族の苦痛をなるべく最小限にすることを目的としています。
終末期ケアとかなり似てますが、ケアの視点を持っていることが特徴です。
エンドオブライフケア
緩和ケアは疼痛や病状管理に焦点化され、ターミナルケアは終末期に特化しているといえます。
しかしこれだけではカバーしきれず、患者家族の生活に合わせた終末期のケア体制をつくる必要があります。
というのが各ケアの違いとなっています。
全体的には、死の危険性がある人に対して全人的な苦痛に対応しているということです。
緩和ケア=死が迫っているなど、患者さん・利用者さんが安心して暮らせるように支援していかなくてはいけません。
その人がどんなケアを望んでいるかをしっかり把握して、関わることが大切です。
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