終末期の患者さんにできることは?看護学生ができるケアはこんなにある!
終末期の患者さんを受け持つと、いつなにがあるかわからないため不安になりますよね。
自分の看護で本当に大丈夫なのだろうか?
いつも苦しそうにしているけどなにかできることがあるんだろうか?
そう悩む看護学生さんは少なくありません。
私も看護学生時代は実際に悩みました。
今回は終末期の患者さんを受け持つことになった看護学生さんへ、終末期とはなにか、どんな患者さんが多いのか、看護学生でもできる援助はどんなものがあるのかを解説していきます。
最後まで見ていただければ、実習で終末期の患者さんを受け持っても看護計画が立てやすくなったり、何ができるのかという不安が一掃できます。
ぜひ最後まで一読ください。
終末期とは?
終末期は日数で範囲を決めることはできません。
人生の最期を迎えるための準備期間である終末期はさまざまな問題が発生します。
終末期の定義は
複数の医師が客観的な情報を基に、治療より病気の回復が期待できないと判断すること
患者が意識や判断力を失った場合をのぞき、患者・家族・医師・看護師などの関係者が納得すること
患者・家族・医師・看護師などの関係者が死を予測し対応を考えること
公益社団法人全日本病院協会;終末期医療に関するガイドライン~よりよい終末期を迎えるために~より引用
とされています。
このガイドラインには注釈がついており、救命救急の場では数日以内の短い期間だったり、重度の脳卒中後遺症などでは数年単位になることがあるため、終末期の期間を定めることは容易ではなく適当ではないとされています。
どんな患者さんが多い?
終末期ケアの患者さんは多種多様で主には悪性腫瘍(がん)や脳卒中後遺症などさまざまです。
看護学生の実習では家族の心情を考慮して、重たい方は受け持つことはありません。
しかし患者さんの了承を得られれば、死をまじかにした方や余命宣告をされた方を実習対象として見せてもらえる可能性はあります。
このような方はこれまでさまざまな苦しい治療や制限を受けてきています。
そのためQOLはとても良いものとは言えない場合があります。
今までがんばってきた方の看護を勉強させてもらえるのは、とても貴重でいい経験になります。
終末期のケアの種類
終末期ケアは人生最後のステージですが、細かくわけることもできます。
大きく分けて、
- 緩和ケア
- ターミナルケア
- ホスピスケア
- エンドオブライフケア
と4種類に分類することができます。
緩和ケア
大きな病院では緩和ケア病棟という専門病棟ができているところもあります。
緩和ケアはあくまでも痛みやその他の体の苦痛を取り除くための場所でもあります。
身体的な苦痛は基より、精神的な苦痛にもアプローチしていきます。
緩和ケアには緩和ケア認定看護師がいらっしゃいます。
緩和ケアのスペシャリストなので、時間があけば積極的に質問してみましょう。
ターミナル(終末期ケア)
終末期にある方(生命を脅かす疾患に罹患した方)はすべての方が対象になります。
余命わずかなだと宣告された方が、QOLを向上させるために身体的、精神的などさまざまな負担を軽減することが目的となっています。
ホスピスケア
生命の危機に瀕している患者が、
- 身体的・心理的・社会的・スピリチュアルな靴から解放されて、
- 残された日々を人間として尊厳を保ちながら安楽に過ごすことができる
ようにするケアです。
今まで日本ではがんを中心にホスピスケアを進めていたが、現在ではがん以外の疾患でもホスピスケアを適用するようになってきています。
エンド・オブ・ライフケア
ターミナルケアよりも広い概念で考えられていて、いつか来る死について考える人が最期まで最善の生を生きることを支援すると定義されています。
いざというときにあわててしまうのは、今までに死について考える機会がそれほどなかったからだと言われています。
自身や家族の最期を考える機会を手助けする役割を看護師は持っています。
終末期の種類について詳しくはこちらの記事もご参照ください。
看護学生ができるケアはこんなにも!
終末期にある患者さんを受け持つと、何をしたらいいの難しく考えてしまいがちです。
しかし本当は、高度な看護技術は必要とされていません。
今回は看護学生さんでもできる終末期のケア方法について考えていきます。
コミュニケーション
コミュニケーションは看護学生でも一番初めに習得する技術になります。
コミュニケーションは経験することでどんどん上達していく技術です。
終末期に入っている患者さんはうつ状態になっていたり、混乱していることも多々あります。
実際に看護師として勤務しはじめるとわかりますが、ひとりひとりの患者さんに何十分と付き添うことができるのは稀です。
しっかりコミュニケーションの手法を勉強して、患者さんの恐怖感や今までの人生観などに耳を傾けることは立派なケアです。
せっかく終末期の方を受け持つことができているのであれば、辛いかもしれませんがしっかりと話を聞くことに徹してみてもいいでしょう。
苦痛の緩和
苦痛の緩和と聞くと、麻薬を使ったりして苦痛を取り除くことを想像しがちです。
しかし薬物療法は一つの手段であって、薬以外にも苦痛を緩和することがでます。
苦痛には身体的・心理的・社会的・スピリチュアルなものがあります。
例をあげると、温罨法をすることにより疼痛が軽減することもあります。
体位を工夫してみることで楽になることもあります。
話を聞くことによって、楽しい気持ちになり楽になることもあります。
循環器系の疾患やの疾患など、疾患によって苦痛の緩和方法はことなってきます。
しっかりアセスメントして疾患にあった必要な苦痛緩和を行っていきましょう。
エネルギー温存・活動療法
終末期にある方はエネルギーを一日中保つことは難しくなっています。
そのため患者さんが楽しみにしていることが、疲労感によって楽しめなくなったりすることがあります。
面会や食事、友人との会話、観たいテレビなど楽しめないと苦痛になってきますよね。
本人が楽しみにしている時間に疲労がたまっていないように支援することも重要になります。
面会の時間がわかれば、逆算して清拭など体力を奪うケアを考えましょう。
患者さんが楽しそうにしていればQOLの向上の支援ができていたという評価につながることでしょう。
浮腫の軽減
浮腫(むくみ)はとても多くの方が出現している方少なからずいます。
終末期の浮腫はとにかく下肢を挙上することが、改善させる方法ではあります。
浮腫を改善させる方法としては、
- 温罨法
- マッサージ
- 軽い運動
などが効果的で、安楽目的にも有効です。
不眠
終末期の方は寝る前に死について考えてしまい、睡眠が取れずに朝を迎えることもあります。
また倦怠感などで寝れずに朝を迎えることもあります。
不眠は悪循環の開始で、いいことは一つもありません。
体調がよければ日光浴と散歩をしてみたり、睡眠のリズムを把握してリズムを整えてみましょう。
意思決定支援
看護学生が行うのは、とても難しくなっています。
患者さんからしてみれば、「死」が目前にせまっている状況になっています。
そんなときに学生から話す余裕はありません。
しかしその後、時間をおいて自分の意思を伝えてもらえる場合もあります。
その時には一生懸命に何が言いたいのか、今どんな気持ちなのかをしっかりと聞きましょう。
終末期の患者さんにできることは?看護学生ができるケアはこんなにある!:まとめ
今回は看護学生でもできる終末期のケアについて解説してきました。
人生の最期を迎えるための準備期間である終末期はさまざまな問題が発生します。
その問題はどれも解決するのは難しい場合もあります。
しかし看護学生でもケアできることはたくさんあります。
コミュニケーションを取って信頼を築き、苦痛の緩和では体位の工夫や温罨法などリラックスできるケアを行うこともできます。
エネルギー温存・活動療法では、本人が楽しみにしていること軸に活動を逆算していく方法です。
浮腫も終末期にはよく出現するもので、お温めてあげたり下肢を挙上して少しでも浮腫が引くように援助することもできます。
不眠は夜間の状況をしっかり把握する必要があります。
なぜ眠れないのか、不安があったり痛かったりといろんな理由があると思われます。
しっかりアセスメントしてみましょう。
意思決定支援もケアの一つです。
人生のターニングポイントで看護学生にかまってる余裕はないです。
しかし看護学生だからこそゆっくりと関わることができ、どのような感情なのかを一生懸命考えましょう。
いかがでしたでしょうか?
看護学生だからこそできることがたくさんあります。
看護師になったときにとてもいい経験になることは間違いありません。
ちなみに私も、学生時代に受け持った終末期の方のことは今でも覚えています。
たくさんの経験や考え方を教えてもらえる機会を大切にしたいですね。