親が認知症になってしまった。介護未経験でもイライラいしない方法を紹介!
お父さんが毎日同じことを話して疲れる・・・
簡単なことができないからイライラしてしまう・・・
認知症になると、日常生活をおくることじたいが難しくなってきます。
今まで、できていた事が出来なくなってしまう
さっき言ったことをなんども繰り返して話す
コンロの火をつけたままで危ない
本人だけでなく、家族の生活が変わってしまうことも少なくありません。
介護を経験したことない方はとてもイライラしてしまい、口調が厳しくなることもあるでしょう。
そんなときにどうしたらよいのかわからない方もたくさんいらっしゃると思います。
今回は認知症ケア専門士として看護・介護経験10年以上してきた中でわかった、心穏やかに接する方法をご紹介いたします!
最後まで一読されれば、認知症の介護も気持ちが楽になり、笑顔が増える生活が送れるようになります。
それでは説明していきましょう!
認知症とは?
「認知症」というのはよく耳にしますよね。
昔は「痴呆」「ぼけ老人」などひどい言われ方をしてきました。
でも認知症って一つの「病気」なんです。
心不全や胃腸炎、かぜ、そんな病気と一緒なんです。
みなさん、心不全やかぜをひいてる人には優しくしますよね?
ではなぜ認知症の方には優しくできないのでしょうか。
学術的な話をしても眠たくなってしまいますので、簡単に説明していきますね。
認知症の基本的な状態を把握してもらえれば大丈夫です!
そもそも認知症って?
認知症は脳の記憶がたまる引き出しの「海馬」という場所が小さくなってしまいます。
タンスも5段あるものから3段しかないものに変えると服が入りきらないですよね。
タンスに昔からの大切な服や着物が入ってる状態で、小さなタンスに変えてしまうと新しい服が入りません。
タンス=海馬、服=記憶
海馬に記憶入らない状態が認知症の物忘れが起こる原因なんです。
なので「認知症は忘れる病気」ではなく「新しいことが覚えられない病気」なのです。
本を読むと「タウたんぱくが・・・」とか「大脳皮質の運動野が・・・」とか難しいことが書いてあるんですが、「新しいことを覚えられない病気」の解釈で大丈夫です。
日本の認知症人口
認知症の方は年々増え続けています。
2025年には700万人を超えるというデータも出てます。
最近世間でも言われ始めたMCI(軽度認知障害)は隠れ認知症ともいわれますよね。
認知症の保険まで出始めました。
この数字は病院へ行った方の数字なので、受診できていない方を含めるともっと多くなるのです。
認知症の方は虐待を受けやすい
- 身体的虐待(暴力やお湯をかけるなど)
- 心理的虐待(罵声を浴びせる、無視をするなど)
- 経済的虐待(勝手に通帳のお金を使うなど
- 性的虐待 (ズボンを脱がしたままにしておくなど)
- ネグレクト(介護することを放棄すること。食事を与えない、入浴させないなど)
があります。
認知症の介護は生活リズムを崩されたり、話が通じないことにイライラして虐待につながるケースも少なくありません。
症状に合わせた対処方法を簡単に紹介!
認知症の症状には
中核症状・・・脳が萎縮することによって起こる症状
周辺症状・・・中核症状に伴って出てきてしまう症状
があります。
「認知症が完全ではないけどよくなった!」
というかたは周辺症状が治まった場合が多いです。
残念ながら今の医学では認知症を「治療」することはできません。
薬を内服したり、日常生活のケアで「遅らせる」ことは可能です。
では認知症の方と上手に付き合っていくための方法をご紹介します!
中核症状
物忘れ(見当識障害)
代表的な症状ですよね。
認知症と言えば「ものわすれ」です。
大切なところなので、少し詳しく解説しますね。
見当識障害とは「人・物・時間」がわからなくなることです。
大切なのは「タンスの中に服がない」のと一緒なのです。
タンスに入ってない服を出そうと思っても見つかりませんよね。
探せば探すだけタンスがごちゃごちゃになってしまいます。
頭の中でも同じ事が起こってるのです。
一生懸命思いだそう(探そう)と思っても記憶(服)がみつからない状態。
一見、あっけらかんとしているようですが頭の中はフル回転。
ものすごく疲れてしまいます。
人や物を思い出せない、時間の感覚がわからない。
忘れられたと思うとすごく残念な気持ちになりますが、ここが踏ん張りどころです。
ここを理解できればあとはものすごく楽になります。
「また一から関係を築いていこう」
ゆっくりでいいので、関係を築いていきましょう。
「誰ですか?」
と言われてしまったときには一呼吸置いて、
「〇〇です。お久しぶり」
と笑顔で返せたら満点です。
その後のことはまた考えましょう。
ここでイライラすると関係性が崩れてしまいます。
もう一度言います。
踏ん張りどころです。
できるはずのことができない(失行)
見当識障害と一緒で
「やり方がわからない」
という状態です。
服の着方がわからない(着衣失行)
歯ブラシの使い方がわからない
指示した行動ができない(じゃんけんなど)
があります。
どれも原因は「やり方がわからない」のです。
忙しいときに服が着られない
スプーンの使い方がわからずこぼしてしまう
などいろんなイライラする場面が出てきてしまいますね。
ではイライラしたときにはどうするか。
ものごとをシンプルにしましょう!
あんがいこれだけで解決できたりします。
服は羽織るだけで良い物にする
いろんな食器具は置かない(箸だけ、スプーンだけ)
メモで一つずつ張っておく
(冷蔵庫を開ける→お茶を出す→コップに入れるを一枚ずつ)
などがありますね。
こうすれば手間は取りますが、忙しいときなどに手を取ることは格段に少なくなります。
部屋中メモだらけということもあり得ますが、イライラするよりはいいです。
言葉が出てこない(失語)
失行と似ていますが、「話す・理解する・書く」ということが難しくなることです。
こちらが言ったことと違うことをする
会話がかみ合わない
何を書いているかわからない
理解ができずにイライラしてしまいますよね。
では対処はどうしたらよいのでしょうか。
認知症本人も頑張って伝えようとしてきますが伝わらずにイライラしてきます。
本人が向いた方を注目してみて下さい。
なにかヒントになるものがあるかもしれません。
また、言葉ではなく絵で表現したり、単語で聞いたりするとスムーズにコミュニケーションが取れることもあります。
とにかく両方ともがイライラすることが一番困りますので、ゆっくりコミュニケーションをとりましょう。
急がば回れ、です!
財布の中に小銭がいっぱい(理解・判断力低下)
これも認知症発見の糸口になる症状ですね。
財布の中が小銭でいっぱい
支払いの時に手間取りってすぐにお札を出す
これは瞬時に計算ができずに「大は小をかねる」と考えた結果です。
これでイライラすることはあまりないと思いますが、
「小銭ばっかりで財布が重たくなる!」
と思ってしまった場合には「小銭貯金」が一番です。
実際に利用者家族がしていたのは、財布に500円のみ数枚入れておき、100円以下は貯金箱にポイっとするそう。
満帆になったり、銀行へ行くときに両替してお札に戻していたそうです。
一手間かかってしまいますが、「ついで」であればそこまで苦にはならずに済みます。
認知症の方が買い物をすることにはすごく意義があると思います。
認知症になると、社会参加が出来なくなってきます。
しかし、買い物をするという社会参加をしていることで人間らしい生活ができていると私自身は思っています。
できることならその機会を奪って欲しくはないですね。
周辺症状
周辺症状は前項でも説明した通り
「中核症状が原因となって起こる症状」
ですので、ケア次第ではなくなる症状なんです。
残念ながら治ったわけではないし、再び出てきてしまうこともあります。
ケアの仕方だけでなく、「痛い」「かゆい」「寝不足でだるい」「風邪気味」など些細なことでも出てきてしまいます。
その原因を排除することが第一ではありますが、出てきてしまったときに無理に止めたりすると余計悪化します。
悪化させない方法を紹介しておきますね。
暴言・暴力
不快な感情を表現できずにすぐ怒ってしまう、手が出てしまうことがあります。
このようなときには訴えを聞いてあげましょう。
その中にヒントが隠されています。
出てきたヒントから不快な症状を取り除いてあげれば治まることがありますね。
興奮して手に負えないときには一定の距離を保った状態で見守りましょう。
怖いかもしれませんが、本人も困っている状態です。
難しいときにはケアマネージャーさんやかかりつけの看護師さんに相談してみましょう。
嘘をつく(作話)
家族の方からみれば「嘘をついている」「作り話をしている」と思われがちです。
しかし、本人からしてみれば「本当の事を話している」のです。
頭の中が混乱している状態ですので、自分のいいように解釈したり点と点が間違った形でつながってしまった結果です。
このときには一度受容してみましょう。
本人の世界感に入ってみて、否定はせずにうなずくだけで大丈夫です。
それが本当かどうかは医療職でもわかりません。
しかし、その中に何か伝えたいヒントが隠れているものです。
適当に相づちをうつのではなく、「何が言いたいのかな-」と考えながら聞いてみて下さい。
「嘘をつかれた!」と思うとイラッとしてしまいますが、「しかたがない」と思えればそれなりの労力で済むことがあります。
そして本人には「話を聞いてくれた」と安心感を与えることができるので、穏やかになる場合もあります。
認知症に困ったら・・・
そんなこと言っても一人一人違うだから!
こんな簡単なことじゃないんだよ!
そうなんです。
今日、説明したことはほんの極一部の人しか当てはまりません。
人はみんな一人一人違いますので、対応も十人十色、百人百色です。
なので本人を実際に見て、対応を考えていくことがとても重要になります。
一緒に考えてくれるパートナーをご紹介しますので、困った際には遠慮無く相談してみてください!
一度イラッときたら相談です!
相談場所を決めておくことが大切
相談場所とすれば下記のような場所があります。
があります!
どこへ連絡しても必ず相談に乗ってもらえます!
こんなことで相談してもいいのかな・・・
みんな頑張ってることなのに・・・
愚痴って思われたらどうしよう・・・
そんなこと思わず連絡してくださいね!
こんなに助けてくれる人たちがいます
かかりつけ医の看護師
担当ケアマネージャー
社会福祉士
保健師
精神保健福祉士
包括支援センター職員
近所の介護施設職員
民生委員
近隣の住民
親戚
専門職や民生委員さんなどは認知症の方への理解が必ずあります!
(もし話を聞いてもらえないと思ったら違う場所へ行きましょう)
とにかく一人で考えずに仲間を増やしていきましょう!
もし誰も助けてくれない、どうしても相談しにくいなどあればお問い合わせフォームからメッセージください!
一緒に考えましょう!
親が認知症になってしまった。介護未経験でもイライラいしない方法を紹介!:まとめ
認知症になってしまう方は2025年には700万人を超える勢いで増えています。
認知症は「タンスが小さくなった状態」と思って下さい。
大切な服を入れたままなのでいっぱいになり、新しい服が入りません
考えれば考えるほど整理がつかなくなり、ごちゃごちゃになってしまいます。(見当識障害)
なので言っていることとやっている事が違ったり(失行)、言葉が出てこなかったり(失語)します。
そして結局整理がつかずにイライラがたまって暴言や徘徊などの言葉にできない訴えが出てくるのです。
認知症の方と一緒にいるとイライラすることもあります。
病気だからしかたがないと思っていてもです。
そんなときには一度、その空間から離れましょう。
そして深呼吸して落ち着けば戻ればいいし、無理なときにはまわりに相談してもいいんです。
そのための専門職ですから、使わないと損です。
認知症の方本人も家族の方も良い方向には進みません。
これは断言できます。
イライラしない方法は
病気の症状の一環だと認識する
少しでもイラッとしたら離れる
この二つ以外には無いです。
「認知症の〇〇さん」ではなく、「〇〇さんは認知症を患っている」と似た言葉ではありますが、意味が変わってきます。
〇〇さんを見てあげてください。
この世から、虐待を受ける人が一人でも少なくなりますように。