病院?施設?それとも自宅?看取る場所を決めるポイントを紹介します!
- 看取りってなにもしないの?
- どこで最期を迎えるのが本当はいいの?
家族が人生の最期を迎えるとき、あなたはどこを選びますか?
日本には大きく分けて病院・介護施設(以降は施設)・自宅(在宅)があります。
最期に近づいているときに迷うのは当たり前で必要なことですが、一番いけないのが
「後悔が残る看取り」
をすることです。
今回は看取りとは何かということから、看取る場所はどこを選ぶべきなのか、病院や施設、自宅での違い、後悔が残らないために必要なポイントを紹介します。
最期まで見てた抱ければ、看取る場所に迷ったときの判断材料になって、悔いの残らない看取りができるでしょう。
それでは解説していきます。
看取りとは?
「看取り」という言葉は介護を経験した方なら一度は聞いたことがあると思います。
最近では特養やグループホームなどの施設、在宅ケアでも注目されるようになってきました。
看取りとは
近い将来、死が避けられないとされた人に対し、身体的苦痛や精神的苦痛を緩和・軽減するとともに、 人生の最期まで尊厳ある生活を支援すること。
引用;全国老人福祉施設協議会「看取りフォーラム(H25年度)」より
とされています。
苦痛をなるべく抑えて、その人らしく最期まで生活するということです。
同じような言葉で「ターミナルケア」や「終末期ケア」などがありますが、どれも密接に関わっています。
詳しい説明は省略しますが、看護師でも間違えやすいので注意が必要です。
看取りには家族の協力はもちろん、主治医や看護師、介護士などさまざまな方が関わります。
そしてどのように最期を迎えるか、その環境を整えるのは家族の仕事になってきます。
しかしどの家族も医療や介護の知識を正しく持っているというわけではありませんよね。
看取る場所を選ぶときに大切なのは、「どのように最期を迎えてほしいのか」です。
どこで最期を迎えたいのかはっきりと決めておけば、自ずと看取る方法も決まってきます。
それでは場所での看取りの違いを紹介していきましょう。
病院での看取り
- 医療職が常に近くにいるので安心
- 命を延ばす行為が本当にいいのか迷ってしまう
- 緩和ケア病棟以外は希望して入れる場所ではない
医療が常に近くあるので安心
病院は主に「治療を目的とした場所」になります。
特に救急車が出入りするような病院(急性期病院)は「命をつなぐことを目的」ですので、看取りとは真逆の存在です。
そのため療養となると、慢性期病院となってきます。
病院には医師や看護師が24時間常駐しています。
命を延ばす行為が本当にいいのか迷ってしまう
体調の変化には敏感に反応して、その時々で適切な医療が提供されます。
無くなる前に出てくる症状で詳しくは関連記事で記載していますので見てみてください。
しかし医療は命をつなぐ行為ですので、看取りとはどうしても矛盾した環境です。
はっきりと家族から、延命処置はしませんと断言しておかなければ、チューブや管がどんどん増えていくことになります。
緩和ケア病棟以外は希望して入れる場所ではない
緩和ケア病棟は希望すれば入院することが可能です。
しかしこれまで長期間見てもらった看護師や介護士がいるところに入りたいと思っても、ベッドの空き状況や病状によっては受け入れを断られる場合があります。
どこまでの医療をするのか、あらかじめ本人や家族と話しておくことが大切!
施設での看取り
- 自宅に近い状態で、介護職の力を借りることが出来る
- 常に利用者や職員の気配を感じられて寂しくない
- 場所によっては看護師や医師も常駐しているので、体調変化にも対応できる
自宅に近い状態で、介護職の力を借りることが出来る
介護施設は「集合住宅」「共同生活」として扱われるため、基本的には「家」と同じ感覚で住むことが出来ます。
見慣れた家財や配置、もちろん好きなときに外出なども出来ます。
自宅にいたときと同じように生活できます。
そして介護職員が常駐している施設であれば、24時間365日、介護を変わってもらうことができます。
経済的な負担は増えてしまいますが、身体的な負担はかなり減ります。
常に利用者や職員の気配を感じられて寂しくない
集合住宅や共同生活の場なので、ホールに出れば他の利用者さんと交流もできます。
人によっては友達になることもあり、親族からの贈り物をあげたりもらったりする方も多いです。
寝たきりになっても定期的に職員が声をかけにきたり、足音や物音で人の気配を感じることができるので、孤独感を感じにくいです。
しかし人によっては煩わしく思うこともあるので、入所する方の性格などを考慮する必要があります。
場所によっては看護師や医師も常駐しているので、体調変化にも対応できる
特別養護老人ホームや介護保険施設であれば、看護師も常駐しています。
介護保険施設は医師が管理者でなければならないので常駐していますし、特養も場所によっては常駐医師を置いている場合もあります。
有料老人ホームやグループホーム、軽費老人ホームなどでも訪問看護ステーションと契約をすれば、定期的に訪問して体調確認をしてもらえます。
病院のように医療設備が整っているわけではないので、その場で治療ということは難しいと思いますが、早期発見・早期治療につなげることは可能です。
病院と在宅の中間メリットがある分、本人の意思を尊重する難しさが出てくる!
介護施設で看取るということ、現実をもとに本にされています。
生活支援の場のターミナルケア 介護施設で死ぬということ (介護ライブラリー) [ 高口 光子 ]介護施設で看取るということについて、深く考えさせられる内容でした。
施設入所で迷った時には見てみてください。
自宅での看取り
- 住み慣れた場所で過ごせる
- 経済的な負担が少ない
- 家族の好きなようにできる
住み慣れた場所で過ごせる
看取られる人が一番安心して過ごせる場所は、ほとんどの人が自宅と答えます。
中には結婚する前から生活している家の場合もあるでしょう。
今までの人生を振り返りながら過ごす時間には最適です。
しかし日本人の性格から、自分のことよりも家族の介護負担のことを考えて入所する方が多く居ます。
現に厚生労働省の調査から、入院や入所する多くの理由が
「自宅では介護してくれる家族の負担が大きいから」
となっています。
大切なのは本人の気持ちです。
家族の方が許すのであれば、本人の気持ちをくみ取ってほしいなと個人的には思います。
経済的な負担が少ない
施設に入るよりも、自宅で過ごす方がもちろん経済的には負担が小さいです。
食費とオムツ代など以外は介護保険でほとんどカバーできます。
上手に介護保険サービスを利用すれば、家族の身体的な負担も軽くなりますので担当のケアマネージャーに相談してみてください。
必ず力になってもらえます!
家族の好きなようにできる
ここが一番のメリットでもあり、デメリットでもあるところです。
家族が「こうしてあげたい」「あれをしてあげたい」と思うことを実現することが可能です。
オーバーな表現ですが、好きな場所で最期を迎えることもできます。
主治医や看護師、ヘルパーなどの協力が必要ですが、海が好きな方であれば海の音を聞きながら最期を迎えたり、好きな歌手のライブに行くことだって可能です。
しかし好きに出来るということはデメリットにもなりえます。
看取りの段階に入っている方はほとんどが、自分の意思を伝えることが難しくなっています。
そのため家族が決定権を持っているため、本人の意にそぐわない入院や入所などもできてしまいます。
家族の思いによって、最期までの時間が良いものになるかそうでなくなるかが決まる。
後悔を残さないポイント!
生活支援の場のターミナルケア 介護施設で死ぬということ (介護ライブラリー) [ 高口 光子 ]でも書いてありますが、家族が後悔を残さないためには
後悔をしない唯一の手段は「迷いつくすこと」です。
介護をしているときには一生懸命で、これ以上のことはできないと思っていても、
「寝る前に10分でもそばに居てあげればよかった」
「もっといろんなこと聞いておけば良かった」
「新しいパジャマ買ってあげればよかった」
などどんどん思いついてきてしまいます。
あれしておけば、こうしてあげればという思いはどれだけやっても思うことですが、これは「反省」です。
きっと次に誰かを看取るときには、今回思ったことを振り返ってもっと良い看取りにすることができます。
では後悔とは何なのか。
後悔は、看取った後に何年、何十年としこりとなって残ることです。
しこりとなって残る原因は、「悩まなかったこと」です。
介護をしていくときにはさまざまな選択を求められます。
延命をするか看取るか。
入所するか自宅で見るか。
人の人生を簡単に決めることはできませんが、
「看護師に進められたから」
「医者に治療しないといけないと言われたから」
と第三者の意見にそのまま乗っかる形で決めると後悔(しこり)が残ります。
必ず一度はきちんと考えて、自分の中で納得したうえで決めていきましょう。
決めたことはいつでも変えられる
勘違いされやすいのが、決めたことは変えられないという勘違いです。
介護に絶対はありません。
一度決めたことでも、意見はころころ変わっても良いんです。
その迷いが後の後悔を少なくする手段です。
迷っているときには、看取る人のことを最大限考えているということです。
大切な人のことを考える時間が長ければ長いほど、後悔をすることは少なくなっていきます。
しっかり迷ってしっかり悩んでください。
病院?施設?それとも自宅?看取る場所を決めるポイントを紹介します!;まとめ
看取りをすることは容易ではありません。
もちろん医療をすることを否定する訳ではありませんし、必要な延命はするべきです。
しかし本人が望まない苦痛を与える行為だけはするべきではないと断言できます。
日本では在宅での看取りを希望する家族が多い反面、結果としては病院や施設で最期を迎える方が多いのが現実です。
意思表示ができなくなった方の代弁者であり、意思決定は家族しかできません。
後悔しないように最期を迎える場所をしっかり見定める必要があります。
しっかり悩んで後悔が残らないようにできることを願っています。